キメラとヤックル

「呪いの傷を癒すアシタカ」は、オービュッソンのタペストリーシリーズ「宮崎駿の世界」を題材にした6つのタペストリー作品の第一作であり、このシリーズはオービュッソンの国際タペストリーセンターとスタジオジブリとのパートナーシップから生まれたものです。この作品は、オービュッソンの伝統的な技法に従い、すべて手作業で作られたウールの作品です。これは、アニメ映画『もののけ姫』の一コマを再現したもので、自然の森とその動植物による人間の攻撃への抵抗を象徴しています。このタペストリーが与える圧倒的な印象は、その細やかなディテールと構成の深さという、11ヶ月にわたる織り作業の成果の現れです。

荘厳な森の中で、太陽の光に包まれて、アシタカは忠実な友ヤックルとともに傷の手当てをします。巨大な木の幹、岩に光る苔…光の遊びは、宮崎が愛した自然の力強さと静けさを表現しています。ユネスコの世界遺産に登録された何世代にもわたる伝統とアニメーション映画の幻想が交わって織りなされるこのタペストリーは、人間と自然が繊細な調和の中で共存する世界を描くものです。 

© Copyright Justine Emard

このキメラ像は大聖堂の南翼廊に置かれていたものです。19世紀中ごろに流行した象徴主義や理想化された中世趣味をよく表す様式で制作されたこのキメラ像は、2024年末に終了した修復工事の際に複製に取り替えられました。 


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