「愛の接吻で蘇るプシュケ」

© Copyright Justine Emard

上体を起こした少女が、花冠のように両腕を広げ、しなやかな翼を生やした少年の頭をやさしく包み込み、少年もまた、彼女に応えるようにそっと抱き寄せています。ふたりの姿は、凍りついたかのように身じろぎせず視線を交わしています。そこには冷ややかな官能性が横たわり、永遠に変わらぬ感情を描き出しています。

最も繊細な大理石を彫って生まれた女神ヴィーナスの息子が、口づけにより奇跡を起こし、ひとりの儚き人間の娘を死の淵から呼び戻したのです。古代作家アプレイウスによるこの寓話は、数々の象徴に満ちた試練を通して、プシュケの勝利を物語っています。その名がギリシャ語で「魂」や「息吹」を意味するプシュケは、愛の神クピドの力によって蘇り、不死を与えられます。

この作品は、1787年にウェールズ人の大佐がカノーヴァに依頼したものですが、結局作品が大佐に届けられることはありませんでした。運命に導かれ、この作品は1822年にはルーヴル美術館へとたどり着きます。

精緻なポージング、それを一つの石塊に刻み込む難しさ、多角的な視点の重なり、細部に宿る写実の美……それらすべてが、イタリア人芸術家の驚異的な技巧を物語っています。この傑作は、古代芸術への憧憬を映し出しています。 


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